介護が必要になったら
多くの場合、最近ベッドから起き上がったり立ち上がったりするのが大変、ひとりでお風呂に入るのが
危なく感じる、足元がふらついて転倒した・・・など心身の機能低下などによりこれまでどおりの生活が
できなくなったと感じたことをきっかけに介護を考えるようになると思います。
介護が必要になってからは、意思疎通も困難になるケースが多く、コミュニケーションが取れるうちに
ご家族が掛かりつけの病院や貴重品などの保管場所を把握しておくなどチェックリストを作るなどして
確認しておきましょう。
また、いざ介護が必要になってからその負担に疲れてしまう方もいらっしゃるため、ご家族で
介護をする場合は事前に家族内で役割分担を決めておくなどもおすすめします。
まずは、お近くの市区町村の専用窓口や地域包括支援センターなどへ相談しましょう
◎ 市区町村の介護保険課や高齢者福祉課などの専用窓口
介護保険制度に関する情報提供や支援計画等を行っています
◎ 地域包括支援センター
介護の予防に向けての相談やサービスに関する各種相談、虐待防止や権利擁護等を行っています
介護保険制度を利用しよう
介護保険は誰でもすぐに利用できるわけではありません。
要介護認定の承認を受けることで介護サービスや介護施設を利用することができます。
サービスが受けられる方
■65歳以上の方(第1号被保険者)
寝たきりや認知症などで常に介護を必要とする状態(要介護状態)や、常時の介護までは
必要ないが身支度など日常生活に支援が必要な状態(要支援状態)になった場合にサービスが受けられます。
■40歳から64歳までの方(第2号被保険者)
認知症などの老化が原因とされる下記の特定疾病により要介護状態や要支援状態になった場合にサービスが受けられます。
●筋萎縮性側索硬化症 ●後縦靱帯骨化症 ●骨折を伴う骨粗鬆症 ●多系統萎縮症 ●脊髄小脳変性症
●初老期における認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症等) ●脊柱管狭窄症 ●早老症(ウェルナー症候群)
●糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症 ●脳血管疾患
●パーキンソン病関連疾患 ●閉塞性動脈硬化症 ●関節リウマチ ●慢性閉塞性肺疾患
●両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 ●末期がん
介護保険で利用できるサービス
- 訪問サービス:
買い物や掃除などの生活支援、食事や排泄などの介護、健康管理や衛生管理指導、リハビリや入浴を提供するサービスです - 通所サービス(デイサービスやデイケア):
利用者が日中施設などに通い、食事や排泄などの介護、健康管理や衛生管理指導、リハビリや入浴などを提供するサービスです - 短期入所サービス(ショートステイ):
普段は自宅で生活する利用者が短期間入所するサービスで、食事や排泄などの介護、健康管理や衛生管理指導、リハビリや入浴などを
提供します。
家族の介護負担を軽減する目的でも利用されます - 施設入居サービス:
提供する施設は大きく「指定介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「指定介護療養型医療施設」の3種類に分けられ、
食事や排泄の介護などや施設によってはリハビリやレクリエーションなども提供します - 福祉用具の購入やレンタル:
車椅子やベッド、バリアフリー化するための住宅改修費用の補助などの際に適用されます - その他:
利用者の自宅に訪問して療養上の管理や指導・助言などを行ったり、生活の状況に基づいて利用者やご家族の
希望に沿ったケアプランを作成したりします。
また地域密着型サービスとして、夜間対応型訪問介護や少人数のグループホームなどが受けられます。
要介護認定の区分
要介護認定では、介護が必要な方に対してどのくらいの介護サービスを行う必要があるかを検証し、7段階のランクで判定を行います。
要支援1
生活の中で、身の回りの世話の一部に手助けが必要な状態
排泄や食事は自分で行えるが、立ち上がり時に支えを必要とする・・・など
要支援2
日常生活で一部支援または介護が必要な状態
要介護1
掃除などの身の回りの世話の一部に手助けが必要な状態
日常生活はほとんど自分で行えるが、立ち上がりや移動などに支えを必要とする・・・など
要介護2
掃除などの身の回りの世話の手助け全般が必要な状態
排泄や食事などに見守りや手助けを必要、問題行動や理解の低下を確認・・・など
要介護3
掃除などの身の回りの世話の介護が全面的に必要な状態
立ち上がりや歩行がひとりで出来ないことがある、排泄が自分でできない、いくつかの問題行動や理解の低下を確認・・・など
要介護4
介護なしでは日常生活が困難な状態
掃除や歩行などがほとんどできない、排泄がほとんどできない、多くの問題行動や全般的な理解の低下を確認・・・など
要介護5
介護なしでは日常生活が送れない状態
掃除や歩行がほとんどできない、食事や排泄がほとんどできない、ほぼ寝たきりの状態に近い・・・など
介護保険の利用限度額と自己負担額
要支援1【限度額50,030円 うち自己負担額4,970円】
要支援2【限度額104,730円 うち自己負担額10,400円】
要介護1【限度額166,920円 うち自己負担額16,580円】
要介護2【限度額196,160円 うち自己負担額19,480円】
要介護3【限度額269,310円 うち自己負担額26,750円】
要介護4【限度額308,060円 うち自己負担額30,600円】
要介護5【限度額360,650円 うち自己負担額35,830円】
※上記の金額は、訪問・通所および短期入所サービスの支給限度基準額の1ヶ月あたりの目安です。
また毎月の利用限度額とは別に、
1、20万円上限枠として住宅改修工事が1割負担でできます。
2、毎年10万円を上限とした特定福祉用具の購入が1割負担でできます。
【限度額が適用されないサービス】
居宅療養管理指導、特定施設入居者生活介護(一部条件を除く)、認知症対応型共同生活介護(短期利用を除く)、
地域密着型特定施設入居者生活介護(短期利用を除く)、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
介護サービスを受けるまでの流れ
介護保険制度では介護サービスを受ける場合、一定の手続きや申請が必要となります。
- お住まいの市区町村の「介護保険窓口」やお住まいの地域の「地域包括支援センター」等に相談し、市区町村に申請をします。
- 主治医の意見書の提出や、職員がご自宅への訪問調査を行います。
- コンピューターによる一次判定
- 介護認定審査会による二次判定
- 認定(申請から30日以内に通知します。また非該当と認定された場合、介護保険のサービスは受けられません)
- 介護サービス(ケアプラン)作成
ご本人様の希望を尊重しながら介護支援専門員(ケアマネージャー)がサービスの利用計画を作成します。
※利用者本人がサービスの利用計画を作成することも可能です。 - 施設に入居したり、在宅サービスを受けたりできるようになります。
※なお施設のご入居をご希望の場合、老人保健施設・介護療養型医療施設は要介護1以上、特別養護老人ホームは原則として
要介護3以上の方が対象です。